3月31日
うちでは「お疲れ様」の飾り付けをし、帰ってきたら「おめでとう」のクラッカーで出迎えた。ちょっと複雑そうな顔の彼だがやるしかないと覚悟は決めたようだ。
4月
いよいよ本格的にまずは店舗探しだ。3月にもあちこちまわってみたがなかなか良いところが見つからない。バイクをお店の前に並べるスペースも絶対条件だ。でも、何よりも人が通ること。中には「バイク屋はマニアが来ればいいのだから」と言って寂し〜い所をすすめられたこともあるが、やっぱりそれでは私達の望むお店ではないのだ。まわった不動産屋の数も知れず、一体どのくらい車でバイクでさがしまわったことか...。
まわった不動産屋は、ガラスに張ってある物件情報を見ただけを合わせると10件はくだらない。ちょうど時期的なものなのか、貸し店舗はほどんどなかった。その中でもあるものといえば、月20万を越える上に保証金が300万もしたり、家賃は安いけど建物はボロボロで「オイオイ、人が通らないだろう(^-^;」みたいなところばかりだった。貸し店舗は儲からないのだろうか、探してくれる不動産屋も少なかった。見つかったら連絡ください、と電話番号を書いてきたもののいまだどこからも連絡はなし。
そんななか、1件はとっても熱心だったし、とにかく面白いほど(?)自信満々で探してくれた。場所と諸条件以外は自分たちでチェックしたかったのでとにかくたくさんの物件を見たかった。が、その辺がうまく伝わらず、いろいろ紹介してくれたのだが、気に入ったところは全然なかった上に(^-^;、目の前が昔っからやっている強力なバイク屋さんだった時にはちょっと絶句してしまった...。彼曰く「夜だったのでわからなかった」そうだが...。でも、彼は本当に熱心だった。それは本当にうれしかったしありがたかった。
あとは、探す気はさらさら無いようなところが多かった。こちらの希望と違うのに「絶対いいですよ」と薦め、そこを断るとそれ以上は探してくれないところや、「ないですねー」で終わってしまうところもしばしば。儲けにならない条件だったのかもしれないけど、もう「なんなのよー」って気持ちでいっぱいだった。どうしても仕事をするのに自分の好みや感情が入りやすいものだが、せっかく来てくれるお客さんのためにお客さんが納得して喜んでくれるような店員になろうとこの時決めた。
そんなこんなで半ば諦めかけた頃、母が来てくれ子守りをしてくれたので、二人でバイクでいつもとは逆方向に走ってみた。すると「貸し店舗」の看板を発見。「あったねー」といいつつちょっと通過。そして駅前にあった不動産屋に飛び込むとかわいいお姉さんが「今は店舗はない…そうだ!ちょっと待ってください」と紙を取り出してきた。それはさっき見かけた看板のあったところだった。そしてそこを管理している不動産屋に電話してくれた。まだ決まっていないそうで、早速見に行くことにした。中はコンクリートのままだが前にバイクが置ける。広さ、形、場所、家賃も今までの中で一番好条件ではないか。初めて二人とも心が躍った。そして次の日にはそこに決めた。
さぁ本格的な開店準備開始だ。
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【写真】苦難の末、ついに見つけた空き店舗。
しかしご覧の通りまっさらな状態。限られた資金、刻々と過ぎていく時間との戦い。本当の苦難はこれからだった... |