3月上旬
「退職が決定しました」というメールが私の携帯に送られてきた。
昨年秋だったか、早期退職についての意志確認があったそうだが、それっきりだったのでなくなった話しだと思っていた。だからちょっと驚いたけど「それは良かった」というのが私の正直なところだ。
12年間暗室内での単純作業の仕事はつらかっただろうと思う。でも、結婚してからはそれはそれは頑張っていたのを知っていたので、もっと夫のやりたいことを思う存分やらせてあげたかったし、彼にはもっと活き活きできる場所があるはず、とも思っていた。
「バイク屋」というのは半ば当然の成り行きだった。16歳で免許を取ってからというものの、一時期は車にも走ったがやはりバイクを手放すことはなかった。結婚して私が仕事を辞めてからは、家計のために仕事の合間にバイク屋でバイトをしていた。それによって増えた労働時間、12時間をじつに4年間も続けてくれた。体は極限に達していたのではないかと思われる。とうとうひざを悪くし、やめることにした。
しかし、どんどんいろんなことを思いつく彼は、ネットオークションでお小遣いを稼いだ。その他中古のバイクをもらってきては直して安く知人に譲ったりもしていた。もっとも、これには儲けはほとんどなし。「資格があるわけではないから」という理由だ。自身のバイクも、正確には何台あるのかは知らないが1台2台でないことは確かだ。
そんなことや、バイトしていたバイク屋とは別に16歳の頃からずっとお世話になっているお店「オートバイハウス」の社長のすすめもあって、思い切って「早期退職」→「バイク屋」という流れにのってみることにした。
3月の上旬に話しがあり、なんと3月一杯で退職!ということになり、忙しくその時を迎えることとなった...